トラックダウンの最終日に
メンバーが集まってくれた。
最後の曲が仕上がったあと、
全曲を聴いてみることになった。
そこで、曲目を書いた9枚の紙を
作ってみんなに渡し、
「曲順を作って見てよ。」と言った。
それぞれ思い思いにトランプの
カードを並べるみたいにフローリング
の床に曲名の書かれた紙を並べ始めた。
僕の中では、ある程度出来上がった
曲順があったのだけれど、みんなが
一体どんな並び順にするのか興味深々。
ぼくの構想は表題曲のクロスロードが
1曲目を飾るというものだった。
5~6人いただろうか、あれこれと曲を
入れ替えてはみんなで何度も聴いた。
いつの間にか朝になっていた。
たしか雪が降って来たのもこの日だと
記憶している。
ツルスタのビールサーバーが空になった。
最初に曲順を見せ合ったとき、
半数以上が同じ曲を選んでいた。
僕はクロスロード案を引っ込めて
その曲を1曲目とした。「旧友」だった。
あの夜のメンバーは今となれば
かけがえのない僕の「旧友」達である。
一枚だけ都留さんの写った写真があった。
「そろそろ、ご飯にしますか」と都留さんが
何種類もの献立表を見せてくれる。
この日はお蕎麦屋さんだったんだろう。
僕は鍋焼きうどんが大好きだ。
都留さんはミュージシャン以外に
エンジニアの作業もしているので、
忙し過ぎだった。あの頃は都留さんに
とって食事が一番のストレス解消
だったのかもしれない。
僕のなかの「都留さん史上」あの頃が
一番豊かでふくよかな体型をなさって
いらっしゃいました。
いまは、ダンディな学者さんタイプ
だものね。
会社の段ボールの中から、またひとつ
大切な思い出が飛び出してきて
僕の心をなごませてくれたのだった。