もう20年以上も前になるんだろうか、
「フォークソングをカバンに詰めて」と言う
タイトルで フォーク仲間数人で北海道を
十数カ所回ったことがある。
その時のメンバーに佐々木幸男さんもいた。
当時のこんなエピソード思い出す。
北海道留萌市は僕が幼稚園、小学校時代に
暮らしていた町だ。
その留萌市もコンサートを行う街の
ひとつだった。
「花友禅」という「すき焼き屋さん」をやっている
昔からの知り合いの近江さんにお願いして、
留萌の コンサートの打ち上げ会場に
花友禅を使わせていただくことにした。
事前に女将の近江さんに「 メンバーのひとりに
お肉が食べられないという人がいるので
何か別のお鍋をその人のために特別に
用意してもらえないでしょうか」とお願い
しておいた。その人というのが佐々木幸男さんだ。
大盛況のうちにコンサートも無事終了!
すき焼きのお鍋が ずらりと並ぶ花友禅の
広い個室に スタッフ共々みんなで移動した。
さていよいよ食事だと言う時に、
女将の近江さんは 僕たちにねぎらいの
言葉を述べてくださり、僕の隣に座っている
佐々木幸男さんに 向き直ってこう言った。
「 佐々木幸男さんはお肉が食べられないと
聞いていましたので特別な野菜鍋を用意
いたしました。舌に合うかどうかわかり
ませんがどうぞ召し上がって下さいませ。」
それを聞いた幸男さん「 それはご丁寧に
ありがとうございます。いただきます。」と
言いつつ微妙な顔していた。
「 幸男さんは最近肉をあまり食べないと
言っていたから別メニューにして
もらったんだけどまずかった?」
「 確かにさ、ステーキや焼肉はこの頃あまり
食わないんだけどツボ、 すき焼きは食うのよ、
て言うか好きよ。」
「 まじですか、だったら俺の鍋で一緒に
食いましょうよ肉!」「 そういう訳にもいかない
でしょう女将さんが俺のために用意してくれた
せっかくの野菜鍋なんだから」
といいつつ、 野菜ばかりを箸ですくい
上げている幸男さんがとてもいい人に見えた。
女将さんが席を離れたのを 見届けてから
「1枚だけもらうかな」と
俺の鍋に箸を入れてきたけども・・・。