お店の壁一面に貼られている「かき氷」のメニューに
目がゆくのはしょうがない。
何年振りだろう「かき氷」を食べたのは・・
しかも嫌いだったはずの「あずき入り抹茶ミルク」を注文した。
キンキンに美味しかった。
しかも掻いた氷のなめらかさが数段に進化している。
思わず、お店のおばあちゃんに尋ねた。
「このかき氷はどの機械で作るんですか?」
「ほら、この機械ですよ。」
「凄く柔らかい氷ができるんですねぇ。」
「そうなの、氷の薄さを何段階にも切り替えられるのよ。」
「へえ〜」
「皆さんはメセナホールで唄われる方?」
「いえいえ、メセナホールじゃないけどこの上の講堂で。」
「全員で演奏するの?唄うの?」
「ええ、みんなでやります。」
「あらそう、今日ですか?メセナホールは。」
「だから・・・メセナでなくて・・。」
「私の姉も歌が唄うまいのよ。この人が双子の私の姉。」と
厨房の中のもうひとりのおばあちゃんを見る。
「姉はね、NHKのど自慢長野大会で優勝したのよ。」
「へ〜、そりゃ凄いですね。」
歌の上手いお姉さんは黙々と何かを剥いている。
私はこのお姉さんが何を唄って優勝したのか知りたくなった。
年齢的には民謡かな?それとも美空ひばりあたりか?
あるいは越路吹雪?と想像しながら
「お姉さんはのど自慢大会で何を唄ったんですか?」と聞いた。
お姉さんは「はいどうぞ、みんなで食べて。」と言って
お皿一杯の桃をテーブルに置いてくれた。
そして「シューベルトのセレナーデですの。」と笑った。
本番前の「黒おでん」も「かき氷」も「桃」も
「このひととき」も最高に美味しかったです。