向かって 車を走らせていると温泉の看板が見えた
「 母畑温泉」「猫啼温泉」と書かれていた。
「猫啼温泉」に興味を惹かれた。
「犬鳴温泉」とか「鴉啼温泉」 と言う言葉が勝手に浮かぶ。
「猫啼温泉」と言うネーミングが、僕の中ではまるで
邦画のホラー映画のような世界観なのだった。
「猫啼温泉」は不気味な感じがする響きなのだった。
そこで早速調べてみた。
なんと百人一首で有名な和泉式部の 名前が出てきた。
「あらざらむ この世のほかの 思ひ出に
今ひとたびの 逢ふこともがな」
私はもうすぐ死んじゃうかもしれないけれど
あの世に持っていく思い出として
もう一度だけあなたに会いたい
病床に伏している彼女の
ストレートなラブソングであります。
このあたりは和泉式部の故郷らしい。
美人で有名だった和泉式部は請われて京都に行く。
残された 愛猫は すっかり元気をなくして病気がち。
かわいそうに思った村人が毎日温泉に入れてあげると
寂しかった猫はすっかり元気になったとさ。
それでその温泉を猫啼温泉と呼ぶようになったンだと。
和泉式部は京都でスキャンダラスクイーンの異名を
取るほど大変に目立つ美人さんだったそうな。
結婚してるのに天皇の息子さんと不倫して
旦那に離婚されている。
求愛した 将軍に天皇の庭から梅を持って来いと
無理難題をふっかける。
このエピソードは祇園祭の山車のひとつになっている。
かの紫式部が自分の日記の中で、 和泉式部のことを
「 あの女はやばい!」 とあえて書いているほどだ。
今日コンサートを行う石川町には 美人と誉の高い
和泉式部一族の 末裔が今も生活しているはずだ。
現代の和泉式部がきょうの会場に現れるかもしれん。
それはそれで楽しみだ。