開演の合図は客席に流れているBGMの音量を一旦煽り、
徐々に下げてゆく。
下がりきったところで僕らの演奏が始まり、タイミングをみて
緞帳が上がってゆく。
客席にいるあなたの顔、顔、顔が反射する照明の明かりに
浮かび上がり、ステージと客席は融合してゆく。
日常と非日常が融け合う。
70年代のコンサートでは、よくある演出だったが
次第に緞帳を使わない方向になっていった。
僕が使わなくなったのは、Eaglesやs&Gらいわゆる「外タレ」の
ステージに行って一切緞帳を使わないのを見て、
緞帳なんか無いほうがカッコ良くない?と思ってからだ。
まだまだ洋楽に憧れていた時代だ。
スリーハンサムズが緞帳を使うのは、
客席の皆さんに70年代のフォークコンサートの雰囲気を
味わって貰いたい、そしてあの頃の自分を隣に座らせながら
2時間と少しの間、あの頃の自分と語り合いながら
僕らのコンサートを楽しんで貰えたらという思いからだ。
青春を通り過ぎた?僕らにとって
時折、自分を振り返ると言う行為は、
贅沢な娯楽であり、僕らの年代にとっては敢えて
大切で前向きなことの様に思う。
私はどうして生まれてきたのか?を知るための
一番の参考書は自分の昨日ではないか。