山内さんの案内で大衆食堂へ行く。
思ったよりも広い店内の右奥のカウンターに洋食屋さんの
コックさんのような白いユニホーム姿の老人と他数名の従業員。
雰囲気的には「志布志食堂」とうより「キッチン志布志」といった感じ。運ばれたお品書きには美味しそうな料理名がこれでもかと並んでいる。我ら全員一番食べたいものを決めあぐねて、何度も
首を立てに振ってメニューを何往復もしていた。
「決まりましたか?」とやって来たおばさまの店員さん。
「すいません、もうちょっと待ってもらっていいですか。」
おばさまは背中を丸めて戻ってゆく。
「オムライス」「天丼」「野菜炒め定食」「ナポリタン」・・
ラーメンも蕎麦も各種あり。とうとう沈黙状態に入った私達に
カウンターから白い服の老人は腕組みしたまま凜としてよく響く
声でこう言った。
「迷ったときにはカツ丼!」
はぁ、カツ丼ってそんなポジションでしたっけ?
みんな同時に老人の顔を見た。
もう一度白い服のシェフは言った。
「うちのカツ丼は全国でここだけ。」
「なんか特別なカツ丼なんですか?」
「食べてみればいい。」
そんな訳で全員カツ丼を注文した。それがこの写真。
実に美味しかった。声をかけていただきありがとうだ。
ソースをベースにしたタレを普通の「玉子とじカツ丼」に
掛けていて、それが香ばしくていいアクセントになっていた。
4人とも満足して店をでる。
そういえば店内にも「名物タレカツ丼」のポスターが貼ってあったが、そのポスターには「新潟名物 タレカツ丼」と書かれていたが
新潟の文字がマジックで雑に消されていて、「名物タレカツ丼」と
なっていた。いつ新潟は抹殺されたのであろう。
リバーブのかかった白い服のシェフの声が頭の中で
「うちのカツ丼は全国でここだけ。」と言っていた。
でも、ホントに美味しかったんだ。