来てくれた「昔フォーク少年、少女」だったお客さんが「あぁ、昔はこんな風に緞帳が上がってコンサートが始まったんだなぁ。」と70年代、80年代の気分を思い出し、僕らが唄うあの頃の歌を
聴きながら自分自身の「あの頃と今」をゆっくりと味わう時間になれば良い。と、思っている。
この日のオープニング曲「八月の空に翔べ」のカウントは中村君が担当する事になっていた。僕らスリハンはすでに降りた緞帳の後ろの椅子に座って開演時間が来るのを待っていた。マネージャー兼舞監の竹内さんの本番直前のサインを受けて中村君が「1,2,3,4!」とカウントを始めると演奏が始まる。ゆっくり緞帳が上がり「日常のように見える非日常の音楽会」が始まるという段取りだ。
そろそろ本番が始まると言うとき、何かと前向きに関わってくださっていた会館の方が、舞台下手からそっと舞台の袖に現れ、私達に
「よろしくお願い致します。」と
ご丁寧な挨拶をしてくださった。
それに答えて私達も
笑顔で軽く会釈した。
その時だ・・・・。
威勢のいい中村君の声で「1,2,3,4!」というカウントが始まった。「はぁ?」「えっ!」「何で?」みんなで中村を見た。
中村も「はぁ?」「えっ!」「何で?」と言う顔で僕らを見た。
中村は会館の方の「よろしくお願いしま〜す」を咄嗟にオープニングの合図だと受け取り、素早くカウントを開始したと言うわけだ。
もちろん、歌も始まらないし、緞帳も上がらなかった。
けれどこのハプニングで涙が出るほど喜んだ僕たちは、
1曲目から柔らかムードのハイテンションでコンサートに突入出来た。「やるねぇ、中ちゃん。」おかげで良いコンサートになった。
このエピソードで中村くんをディスったり、告げ口をしているつもりは毛頭ない、こんな出来事でメンバーが笑い合ったり、軽口を言い合ったり、シンパシーを感じたりするチームなんだよねぇ。とみんなに自慢したい気分なんだと思う。
次は7月21日の京都だ。
自分たちの年齢を笑い飛ばし、眩しい昨日を振り返り、
今と言う時間を味わい尽くし、限りある明日に憧憬る。
スリーハンサムズの放課後にいつか参加して見て下さい。