久保田君が、楽屋のモニターを
見ながら「何かいますよね?」と言う。
モニターに映っているのは、
まだ誰もいないステージ。
「えっ、何が?」と言いながら僕も
テレビの画面に近づきのぞき込む
何かがステージの上をそこそこ速い
スピードで飛び回っているのが見えた。
半透明な白い小さな球体が無数に不規則な
方向とスピードで微かな尾を引いて
思い思いに飛び回っているのだ。
「まじか!」
これは「オーブ」だ。
楽屋のテレビがおかしいのじゃないか
と思い急いでステージ横のモニターを
見に行った。やっぱりこのテレビでも
オーブが飛んでいる。
側にいた3人のホール関係者に
「ねぇ、何か飛んでるよね?」と聞いたら
「飛んでますねぇ、なんでしょうね。」
と全員が首をかしげた。
こんなこと初めてだ。
岩手の座敷童の旅館に泊まったとき
以来と言うべきか。
僕はステージ袖に近寄り見上げてみた。
そこには照明に照られたピアノとギター
僕らが座る予定の椅子があるだけだ。
モニターに視線を戻すとオーブは
やっぱり楽しそうに飛んでいた。
地元のエネルギーか、妖精か、あるいは
「亡き友」が来てくれているのか。
怖いと言うより何故か気持ちが
優しく温かくなったのだった。
その証拠にコンサートは最高に
楽しかったんだよ。
ねぇ、参加してくれたみなさん。
ひょっとして、昨日の「春雷」も彼らの
悪戯だったのかな。