東京に出てきて最初に暮らしたのが麻布十番。
北海道のラーメンが一番おいしいと感じていた
21歳の僕には東京の いわゆる「中華そば」の
ラーメンスープは醤油色したお湯のような
感じがしていました。
それでも コンサートツアーに出ると九州だったり、
広島、岡山、喜多方の各地で独特のご当地ラーメンを
初めて口にするたびに感動していたのだった。
なので、あえて東京でラーメンを食べる機会は
ほとんど持たなかった。
ある日の深夜、 オフで麻布十番にいた僕は
佇まいの立派な中華飯店に入った。
その店のメニューに排骨麺(パイコー麺)と
言う名のラーメンがあった。初めて知るラーメンだ。
僕は それを注文した。 テーブルの上に置かれたそれは
ラーメンの上にとんかつが載っているって感じだった。
ラーメンもトンカツも好きだから一石二鳥だ
多少まずくても文句は言うまい。
ところがこの排骨麺(パイコー麺)が
ほっぺたが落ちるほどおいしかった。
ほんのりカレー風味のする豚のバラ肉を
サクサクっと揚げて中華麺の上にドンと乗せている。
ちょっとお値段は高級だったけれど
やみつきになった事は言うまでもない。
厳密にはラーメンではないが東京でおいしいと
思ったのはこのラーメンが初めてだった。
青春時代に排骨麺が無性に食べたくなった時に
通った秋葉原や霞ヶ関ビルにあった「肉の万世」も
今はなくなり、このラーメンを出しているお店は
滅多にないし、あったとしてもおいしさに波がある。
もちろん 感じのいい中華飯店にはありますけどね。
怒涛の2月、3月のコンサートが一段落し
ホットしたら 急にラーメンが食べたくなった。
いやいや、いつでも食べたくなるのだが、
しかも急に排骨麺が 食べたくなった。
パイコー麺は今はパーコー麺と 呼ぶのが 一般的みたいだが
僕の中ではいまだに麻布十番の店のメニューに
書いてあったパイコー麺が しっくりする。
そこで出かけたのが楊州商人。
色々な事を差し引いても、美味しくて
懐かしくて心満たされた 一杯だった。
これもひとつの青春の味なのかなぁ。
麻布十番のお店がかなりの高級店だったのか?
はたまた楊州商人の 企業努力の賜物か。
53年も前の麻布十番の排骨麺と楊州商人の
値段がほとんど変わらないのは一体なぜだ?