 伊勢、香取、 鹿島の三社が神宮と呼ばれていた。 他の神社より格上な地位にある神社だ。 アマテラス系の神でなければならない決まりがある。 あと、 国に貢献した人間を祀った神社でもいいらしい。 明治の時代になって 政府の政策で神宮の 数が一気に増えたと聞いたことがある。 幣立神宮はずっと昔、僕が来た時には 幣立神社とあったような気がする。 昇格したのだろうか。 磐龍命が阿蘇を統一する前に幣立神社に 立ち寄ったと何かに書いてあった。 由緒のある神社なんだな。 そんなわけで九州ツアーの移動日の ツボッチ探偵団は神社を三社巡ったのでした。 奇遇ですがどこの神社も 「健磐龍命」さん絡みでしたねぇ。 おしまい。   阿蘇を通りかかる時には 必ず挨拶に伺う草部吉見神社。 僕にはとても親近感を感じる神社なんです。 田楽保存会の本田さんに 「あそこはいいところですよ 、ぜひ一度 寄ってみてください」と紹介された神社だ。 もう30年ぐらいになるだろうか 僕らが初めてこの神社に来た時、 たまたま車で 立ち寄っていた年配の方が僕たちに話しかけてきた。 「 お参りに来て下さってどうもありがとう。」 キョトンとしている僕たちに 「 実は私ここの神様の子孫なんです。」 「 今は鹿児島のほうにいますが時々 こうして やってくるんですよ。」 ここの神様というのが誰あろう 上色見熊野座神社の「健磐龍命」の父さんです。 つまり、 神武天皇の息子です。 という事はここにいるこの年配の翁は？ そういうこと？アマテラスの血筋？ そんな始まりがあって阿蘇を通る時は 必ずこの神社に足を運びます。 弟は鬼をやっつけましたが兄さんは もともと 池だったこの場所に住んでいた大蛇をやっつけました。 つまりこの兄弟は初代天皇の子供さん達ではなく 大和朝廷建国以前に阿蘇一帯を支配していた 王国の支配者であったと考えざるをえません。 なんてな。 鬼も大蛇も敗れたそれぞれの国の首長だったのかも・・・。 それどころか、鬼八のリーダーが磐龍命で 国龍命こと八井耳命こそが大蛇から後に 龍神の化身となった阿蘇の最高神なのでは？ 大和王権は巧妙に地元の王族を自らの血族に 組み込んで 侵略した歴史を隠蔽した。 下り宮の階段の一番上から本殿を覗き込むと まるで大蛇が口を開けてこちらを 見上げているように見えます。 だから、最初に話しかけてくれた翁は 天孫族の末裔ではなく阿蘇の神々の血脈なのだ。 なんてな。   南阿蘇・高森町 の山合にある高森田楽保存会 茅葺屋根の古民家の佇まいは旅人の心を和ませる 囲炉裏のある田楽屋さんのあるじは本田さん｡ 久し振りの再会です｡ 家族ぐるみでお店を切り盛りしている｡ 長男の若い店主さんが僕らの歓迎をこめて 赤い花を敷き詰めてくださり､長女さんが お迎えに出て来てくださった｡ 田楽保存会は熊野坐神社の斜め向かいだった｡ ｢本田さん､熊野坐神社のことぜんぜん話して くれなかったじゃないですか､すごいとこですね｡｣ ｢いやぁ､あそこは常駐の 宮司さんもいないし 社務所もないんですよ｡ 昔からこの集落に すんでいる住民で管理してるんですよ｣ ｢ もっと早めに 教えて欲しかったなぁ｡｣ ｢ あれは何年くらい前ですかねぇ､ なんでもアニメの舞台になったとか､ 映画のロケ地になったとかそういうことで 観光客が急に増えたんですよ｣ 本田さんにとってあの神社はあまりにも 身近すぎて､あまりぴんとこないようだった｡ 身近にそういう場所があるというのが ふるさと北海道とはえらい違いなのだ｡  学術的に確実な根拠が曖昧な神々の時代を 外しても天皇家は少なくとも1500年以上は 続いているとされる世界最古の歴史を持つ 王家なんです｡(26代継体天皇以来) 今の天皇は126代です｡ 初代大王のお孫さんが祀られている ここ上色見熊野坐神社の坂道を 何を想い何を願って･･･｡ これまでどんな人たちが登って きたのでしょうか｡おそらくここは 大和朝廷の支配以前からすでに 聖地だったという気がする｡ ファンタジー･ジャパンに乾杯!  私の妄想で言うと「穿戸岩」は 太古の聖地｢風の神殿｣であった｡ 大和建国や熊襲の戦い｡ 神道や熊野信仰を一旦横に置いておいて この岩壁に空いた穴から吹き抜ける風に 身体を預けてみる｡ 宗教の始まりは｢自然崇拝｣｡ あまねく森羅万象に神が宿ると信じていた｡ 太陽の神や月の神は見上げればいい｡ 花や動物の神は愛でるといい｡ 目には見えない｢風｣を感じる聖なる場所が ここ「穿戸岩」のある丘だったのだ｡ 後世､ ｢偶像崇拝｣と呼ばれる仏像や偶像などは 目には見えない信仰の対象をわかりやすく 形とするために人々が作った文化｡ ね､ 何万年の昔から「穿戸岩」は 風の神殿として 聖なる場所だったんだ｡ 巨石や老樹がそうであったように･･･｡ この磐も神々が降りてくる依代だったんだ｡ 本来､日本の神道の起源はこの時代まで遡る｡ 誰か私を止めてくれ!!  この神社にはこんな伝説があります｡ 上色見熊野座神社の祭神健磐龍命は 弓が好きで、よく阿蘇山頂から矢を放ちます。 矢を拾う役目は子分であった鬼八でした。 鬼八は矢を拾うに飽き飽きして 弓矢を足の指に挟んで 健磐龍に投げ返しました。 それに激怒した健磐龍は鬼ハを殺そうとします 鬼ハは逃げますが山にぶつかって逃げ切れません。 上色見の山を越えて逃げようとしますが、 高い岩壁に阻まれ逃げ場を失いますがなんと 岩壁を蹴破って逃亡しました。 その時にあいた穴の跡が「穿戸岩」というわけです。 この伝説はどう考えても古代の戦争だよね。 この神社、なんかすごいことになってきた。 ちなみに 逃げた鬼八は、とうとう高千穂で健磐龍命 に捕まり、首を刎はねられてしまいます。 その首は怨霊となり、毎年暑いころになるまで霜を降らせ、 作物に害をなすようになりました。健磐龍命は、阿蘇宮 のすぐ近くに宮を建て鬼八の霊を祀ったのでした。 平将門の首もアテルイの首もそうだった｡ 昔はよくはねられた逆賊の長の首が 飛んでたのでした。 大國主が国を作る際も、 10代崇神天皇が国を拡大しようする際も 最強の怨霊を祀り､鎮魂していたもねぇ。 桓武天皇も最強の怨霊から逃げるように 風水に武装された平安京を建造して 遷都したんだったよね。 日本の古代は 理不尽な死を遂げた 怨霊の跋扈する国だったんだよね。 目に見えないもののエネルギーが実在した世界。 どれだけ時の為政者は乱暴な行為の連続で 国家を形成していったのだろう。 いつも僕は敗者の側で歴史を眺める癖がついてる｡ だから今回は鬼八さん寄り､だけど ｢龍｣の親子も本当に天皇家の血族なんだろうか? さ、鬼八さんが蹴破った岩盤を見に行きましょ。  ちょうど中国の皆さんの 観光バスが到着した ばかりで、それはそれは荘厳な空間 なのですがちょっとばかり賑やかでした。 海外の皆さんようこそいらっしゃいませ。 一緒にこの空気を味わいましょう。 ここにくる前に私もそれなりに熊野坐神社の 由来を調べてみた。 山岳修験道者の流れで鎌倉時代末～室町時代 初期に和歌山の「熊野信仰」がこの山に入り込み 「 イザナギ、イザナミ、熊野大神」を 祀り上色見熊野座神社（熊野権現くまのごんげん） としたと考えられている。 実はこの場所に古くから祀られていたのは 阿蘇大神と呼ばれる健磐龍命だ。 この「たけいわたつのみこと」とは 実は初代神武天皇のお孫様であり､ 阿蘇一帯を開拓した神であり あの阿蘇神社の御祭神にもなってる 超ビッグな神様なのだ。 ｢健｣とは屈強な男の意味で､｢命｣は尊称なので 名前は｢磐龍｣･･･岩のような巨大な龍 健磐龍命のお父さんは「 草部吉見神社」祭神の 神武天皇の長男、彦八井耳命（ヒコヤイミミノミコト）で 阿蘇では国龍神とも呼ばれてます。 お父さんの彦八井耳命は龍を退治して｢国龍命｣ という別名があるし,息子健磐龍命は鬼を退治してる。 そして2人の名前には「龍」が刻印されている。 ｢国龍｣と｢磐龍｣の親子は初代天皇のジュニアたち｡ 鬼神や龍神が縄文由来の象徴だとすれば 縄文文明を滅ぼし大和国を打ち立てた 初代天皇の神武やその息子や孫の伝説には 隠された日本史を読み解く謎が隠れている・・・。 なんてな｡ だんだん私の妄想は膨らむばかりだった。 ジョディーフォスターさんどころではなくなった。 この山の本当の「御神体」は総欅作りの 本殿から上に続く道の先にあった。 鬼が岩壁を蹴破って穴を開けたという 「穿戸岩」がそれだ。 妹尾さん、降りてくるの早くない？ 「穿戸岩」はイマイチだったん？  上色見熊野座神社 「かみしきみ くまの います 神社」 ロバートデニーロの「タクシードライバー」で デビューして「 羊たちの沈黙」で アカデミー 主演女優賞を受賞した ハリウッド女優 ジョディーフォスターのインタビューを 見るともなしにYouTubeで見ていた。 彼女はインタビューでこんなことを言っていた。 「 私は神を信じない方だけれど、 日本のある神社に行った時、「ここには 神がいる」と実感した。」のだと語り出す。 面白い話やねぇと私は身を乗り出す。 番組もこんな風に締め括る 彼女はこれまで否定してきた神の存在について 新たな視点を得るのです。 この体験は宗教文化の違いを超えた 神社の持つ魅力を示しています。 私も行ったことのある神社だろうか？ どこどこ？と ますます身を乗り出す。 なに？熊本？阿蘇？高森町？ そこは私がもう20年以上も足しげく 通っている土地なのだ。 上色見熊野座神社なんて 知らない、聞いたことない。 郷土の歴史に詳しい「 郷土料理田楽保存会」の 本田さんからも この神社の話は聞いたことがない。 行くしかないべさ。 神のいます神社へ・・・・。 そんなわけで九州ツアーの大分から 久留米に向かう移動の途中で私たちは 高森町上色見に向かったのであった。   大間ジローちゃんが企画したイベントが 発表されました。 つぼちゃんも 平爺も参加しますよ。 こんな機会に清水さんと松尾さんと 一緒に演奏ができたらきっと楽しいね。 どうなりますやら。 東京の コッキーポップにも参加するし、 富澤一誠さんプロデュースイベントもあるし 他にもまだ未発表の面白いイベントにも参加しますよ。 本日、印刷物の最終チェックを萩さんと完了。 国際フォーラムのCDも着々と仕上がっております。 数日後に送ってくるだろう修正した 完パケデータを待つばかり。 都留スタジオでの最後のミックスダウンが 終了した音源を聴きながら、「音もいいけど 曲順もかなり良いなぁ」などと自画自賛。 そんな流れで昨夜はついつい テレビの大画面で ムーンムービーを夜中まで見てしまった。 1曲が終わるとランダムに次々と曲が流れる。 「次は一体どんな曲が出てくるのかな？」 「若いねぇ」「渋いねぇ」「乗ってるねぇ」 ワイングラス片手に、 深夜の自画自賛鑑賞会。 国際フォーラムのCDの作業で火が付いたのか こんな深夜のひとり自分鑑賞会は 初めてのことだったが、なかなか楽しかった。 知ってる方も多いと思いますが 実は私こう見えて相当にナルちゃんなんです。 どう見えてるか知らんけど・・・・。    デビュー曲の白い冬からお付き合い いただいている皆さん方にとっても ひとりひとりの50年と言う歴史を 歩いて来たんですよね｡ お疲れ様でした｡ 一般的には青春と言う時代をとっくに 過ぎて老後と呼ばれる時代に 差し掛かってきた私たちですが､｢ それが何か?｣と 笑い飛ばして｢生涯青春｣な生き方を して行きたいと思うのですが､皆さんはどうですか? 時にはコンサートに顔をだして 僕と一緒に遊んでください｡ 皆さんの50年に花束を･･･ 宇都宮に集まってくれた皆さん どうもありがとうございました 次はいよいよツアーラスト｢桐生｣   ｢ 50年を振り返ってどうですか?｣ ラジオの番組などでこんな質問を 受けることがある｡ どうでしょう？ 50年と言うのは 振り返るには長すぎる｡ コンサートのエピソードトークのこともあり 去年は50年を振り返ってみることが多かった｡ あんなこともこんなこともそんなことも･･･ いろいろあったけれど 時折自分の 歩いてきた道を振り返るのもまた愉し｡ そんなエピソードを挟みながらのツアーは ある意味とても新鮮だった｡ いつも｢今が大切なんだ｣と思うけれど その｢今｣は連続した昨日からの続きだと感じる｡ その先まで､まだまだ歩いて行きたい｡   ｢宇都宮｣のことを何度か｢高崎｣と言ってしまった｡ 久保田さんに指摘されるまで気がつかなかった｡ だんだんとそんなことが多くなる｡ それにしてもいろんな歌を歌ったなぁ｡ 自分のレパートリーではない歌を｡ どうしてだろう昔の歌は歌詞が 意外にすらすらと出てくる｡ チューリップの歌は楽しかったなぁ｡   開演30分前あたりから いつもはロビーで グッズ販売などをしてくれているはずの マネージャーが何度か楽屋に現れて ｢ とにかく皆さんすごく買ってくれて サインが足りません｣という｡ やはり5年ぶりに来たからだろうか? そんなことを本番のトークで話題にして ｢ 5年ぶりに来た皆さんが大人買いしてくれたのかな?｣ と言うと反応が薄い｡ ｢じゃ､ 50周年のご祝儀がわりと言う気持ちで みんなはたくさん買ってくれたのかな?｣ と､いうと 大きな拍手がわいた｡ 50年よくぞ歌い続けてくれたと言う皆様の 気持ちがとても胸に刺さる思いだった｡ この1年間はエネルギーを使い果たしたと 言うよりは､皆さんからのエネルギーを いっぱい受けたと言う気がする｡だから･･･ まだまだ~いけそうな気がするぅーーーー｡  ｢ここのホールはなんか作りが変わっているね｣ とリハーサルの時に僕が言うと ｢クラシック用のホールみたいですよ｣と久保田さん｡ それなら1曲目はアカペラでやってみようかな｡ 単なる思いつきだったのだがそれがまたご愛嬌｡ そんな感じで宇都宮のコンサートがスタートした｡  宇都宮の栃木県総合文化センター サブホール 50周年記念ツアーの49カ所目 そして26日の桐生が｢50-50｣で 50周年ツアーの最終回となる｡ 楽しいツアーでしたがあと2回で終わり｡ 2カ所とも桐生音響の下山さんの仕切りです｡ 加須に続き よろしくお願いします｡  山内さんに送ってもらって かなりおしゃれに 洗練された熊本空港に到着｡ 繁華街の熱気と賑わいといい､熊本の街は これから 爆上がりしそうな予感｡ いろんな大企業の参入も一因しているのかな｡ それにしても､ ツボちゃん､絶対昨夜のお酒残ってるでしょ｡ うわっ! ｢味千と桂花｣がっつり郷土愛コラボやん｡ 初日に味千に行ったのでラストは桂花にしとこ｡   最終日の熊本 コンサートが終わり ツアースタッフ全員でお疲れ様会です｡ グループ時代のように コンサート終了後の 大いに盛り上がる連日打ち上げはしません｡ あの頃が懐かしい反面､ 今はもう 無茶をする 年齢では無いことを自覚しているようです｡ なので最終日の夜は解放です｡ 何? 2次会ですか? 当然でしょう｡ ｢ まだまだ飲める人？｣｢ はーい!｣ 照明のカズさんの顔が隠れちゃいました｡ごめん｡  このメンバーの中に2次会終了後ラーメンを 食べに行った猛者がおりました｡やるねぇ｡ いえいえ､私じゃありません｡    大きなホールを 埋め尽くすくらいの御来場者様｡ とても楽しい時間をありがとうございました｡ 唄で春の風を運んできたつもりでしたが 九州は寒かったねぇ｡ これで今回の九州の旅も終わりになります｡ 次もたっぷりとエネルギーを蓄えて やってきますので､よろしく｡   良いことなのかどうなのか? 一体感のあるコンサート会場はMCも ついつい長くなりがち････｡ でも終わってみればあっという間な時間｡ だが 一体感がイマイチな会場でも 無駄なトークで長くなりがち･･･は､は､｡ お客さんと私たちの体調次第､私の調整次第 女神様の微笑み次第｡ 歌も､トークも生ものなのだ｡   コロナ対策にも慣れてきたので 最近は客席の皆さんと一緒に歌うことも 常態化してきた｡ とは言え今日の会場の皆さんはとても 大きな声で溌剌と唄ってくれました｡ 愉しかったですねぇ｡ でも帰宅後の 手洗いうがいは忘れずに｡   熊本はデビュー当時から身近な街として 僕の中にある｡長い間､熊本放送でラジオ番組を 持たせてもらったことも一因かもしれない｡ 他の街にも言えることだが､ 目には見えないけれど 長い季節の中で育んできた 音楽を通しての絆という ものがこの街には感じるのだ｡ ｢ hey Brother !｣   熊本の駅前を軽く散策しました｡ 九州ツアーは車移動が多いため あまり駅に立ち寄る機会は多くありません｡ 駅前広場にラーメンのキッチンカーが あったのですが､ 僕には驚きでした｡ あの有名な桂花ラーメンと味千ラーメンが 一緒の車で販売している｡ すばらしい｡ 北海道に例えるなら｢純連｣と｢すみれ｣が コラボしてるみたいなもんだ｡(違うか) ふきのとう時代に初めて食べた熊本のラーメンが 桂花ラーメンで､すっかりはまっった時期があって､ 東京に戻っても新宿の桂花によく通ったものだった｡ 当時､車で移動していた九州ツアー｡ 郊外には あちらこちらに味千ラーメンがあり､ 車を止めてツアーメンバーと一緒に 味千ラーメンを食べた思い出もある｡ 今では味千ラーメンは世界中に広がっていて 世界で1番多いラーメンチェーン店だそうだ｡ 細坪の｢歌の旅50年｣は､｢全国ラーメン行脚50年｣ でもあったのだ｡ びっくりした｡ |
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