京都のお寺でいちばん好きなのは
教王護国寺(きょうおうごこくじ)
という正式名を持つ「東寺」です
平安京の入り口中央の羅生門の東と西に
都を護るために国によって創建された
二つの寺院が「東寺と西寺」
西寺は鎌倉時代にさびれて廃寺になったが
空海が嵯峨天皇直々に管理を依頼された東寺は
今も京都の顔として存在している。
空海が配置したとされる講堂の
立体曼荼羅がつとに有名で
僕の目的もあの圧倒的な神々の像なのだが
日本一の高さを誇るこの五重塔も
青空に聳え立つ様はまさに威風堂々。
初めて橋詰和尚に五重塔を
案内していただいたのはもう
20年以上も前になるだろうか。
入り口から塔の中に入り一階を
グルリと一巡した時に、
紙に描かれた小さな仏様の肖像画が
逆さまに貼られていつのを見つけて
和尚さんに「なぜ仏様の絵は逆さま
に貼られてるんですか?」と
たずねたのを憶えてる。
和尚の答えはこうだった。
「おしゃかしゃま」ですね。
お釈迦様・・逆さま・・・ん?
和尚の性格を知っている今なら
すぐに理解できるが、初対面で
それを言われちゃ・・・ん?だよね。
そんな事を思い出し和尚に話すと
「あの時は喜んでもらえるように逆さまの
絵を前もって仕込んでおいたんですよ、
ネタですよネタ。」という答えが帰ってきた。
「抹茶でも飲みますか。」と五重塔を後に
飄々と歩く後ろ姿は、病気から回復して
また元気になったんだなぁと僕らに
思わせてくれた。