全身麻酔って経験したことある?
前回、人間ドックの話をしたけれど、
僕の行く病院は胃カメラを撮る時には、全身麻酔なのだ。
それまではほとんど全身麻酔の経験がなかったものだから、
「部分麻酔にしますか?それとも全身がいいですか?」と
先生にその選択を委ねられた時、間髪を入れず「全身で。」
と即答したのだった。
その日、僕は心電図をとり、エコーで肝臓や膵臓を調べ、
採血をし、その他、諸諸の工程をこなし最後はベットの上にいた。
「これから麻酔を入れますから、ゆっくり
「5・・4・・3.・・」と数を数えてください。」
吊した点滴のような袋から伸びている管に、
注射器で麻酔液を入れ始めた。
それを見て僕も「5・・4・・3.・・」と数え・・・。
そして、目が覚めたのは病院の個室のベットの上だった。
薄緑色のカーテンを開けて、近くを歩いていた看護師さんに
「すいません、寝ちゃったようで・・・」と言うと
先生のところまで親切に道案内してくれた。
「全身麻酔の経験は?」「いや、ほとんど初めてです。」
「普通の量だったんだけど、かなり効いたようだねぇ」
「でも気分は悪くないです。少しぼーっとするくらいで。」
「効きやすい体質のようだから、次回はもっと少ない量に
しましょうね。」と言いつつ「二郎さんには体型を考えて
あなたよりも多い麻酔の量だったんだけど、
何もなかったように、普通に歩いて帰って行っちゃったねえ。」
「ライオン丸様」と私を同列にしてはなりません。
ゴリラとサルくらいの違いはありますから。
そう、この病院は杉田二郎さんに紹介されたのだった。
それからというもの、毎年全身麻酔が楽しみになった。
それは「正常な意識が麻酔の効果で気を失う」
その端境の状態を感じたいのだ。分かる?
麻酔が効いてきて自分が自分を失う瞬間を目撃してみたいのだ。
「トワイライトゾーン「はざま」が好き。
「今日は、数を数えないでずっと喋ってますから、よろしく。」
「今日は、少し肘を立てて、半分起き上がっていてもいい?」と、看護師さんにいろいろ駄々をこねるのだが、
今も毎回「5・・4・・3・・あへ!」である。
ps
BBSに感想を書かれたみなさん、
ツボッチ・エッセイを楽しんで貰っているようで嬉しいです。
たいした時間ではないですが、一日の箸休め程度に
のんびりした気分で読んでいただきたいです。
こうして繋がる機会もいままではなかったからね。
楽しんで続けますよ。
コロナが収束するまではと始めたエッセイ。
こんなに長引くとは・・・・。
自分の首をしめてしまった細坪でした。