生まれて初めて「富士急ハイランド」に行って来た。
昔から「フジヤマ」というその名前は知っていた。
何かが日本一なんだと言う事も知っていた。
30数年前にディズニーの何とかマウンテンに乗ったのが
最後なのでジェットコースターの感覚は忘れかけていたし、
ピアニストの友人が何十回も乗っていてとても楽しいというし、
この日はお客さんも少ないし、富士山が絶景だったので、
つい軽い気持ちでその「フジヤマ」に乗ってみた。
一番後ろの席がベストらしいのだが、
係員になんと一番後ろの席に案内された。
しばらくすると長い坂をゆっくりとトロッコ?は動き始めた。
首をひねって上下左右を眺めると雲ひとつない青空と
何処までも裾野を広げるフジヤマが美しい。
気が付くとゾクッとするほど地上から遠ざかっていた。
坂の頂上に到着した。
「さぁ、いよいよだな!」わたしは心の準備に入ろうとしたが、
そんな気持ちを笑うように
いともあっさり轟音と共にトロッコは急激な急降下を開始した。
軋むレールの音にかき消されてはいたが
「おぉぉぉ~」と叫んでいたと思う。
その後は到着するまで轟音しか聞こえなかった。
いったい何キロのスピードでレールの上を無謀なまでに駆け抜けて行ったのか知らないが、
ある瞬間から、年齢とともに必要とされなくなり休眠中だった私の興奮細胞は沸騰し、そして復活した。
自分の常識の範囲内のスピードまではなんとか頭脳で理解していた。しかしそのK点を越えると、「まて、まて、おい、まて!」と叫びながら、私の中の眠っていた細胞が「影武者」の
オープニングの兵士達さながらに次々と将棋倒しの
逆回転のように覚醒してゆくのを体感していた。
要は細胞レベルでびっくりしているのだ。
ひょっとして「フジヤマ」やその次に乗った「ド・ドンパ!」の
スリルは若返りの媚薬となるかも知れない。
己を知る年齢と言う言葉にうずもれてはならない。
私達の細胞は自分自身が思うよりも遙かに躍動感を
求めているのかも知れない。
そんな妄想が駆け抜けた初ハイランドでありました。